県職員パワハラ過労自死裁判 第2回弁論

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知事「裁判で真実を明らかにしたい」 と反論

「(発症後に)業務軽減」「特命事項は過度な負担と確認できない」

 2020年2月20日(木)、県職員パワハラ過労自死事件の横浜地裁第2回弁論が行われました。職員、組合員やOBなど50名以上が来廷し、傍聴席が満席となりました。マスコミも複数社来ました。その後の報告集会には30名以上が参加。原告代理人弁護士が県当局による「反論」の要旨を説明し、裁判支援を行う組合員、県職員OB、他自治体の労組委員長、いのちと健康を守る神奈川センター、被災者の友人が発言しました。

 ご遺族である母親は「息子は戻らない。このような苦しみを二度と味わってほしくない。事件に向き合わない県庁のままでは必ず同じことが起きてしまう。」と、裁判への支援を呼びかけました。

 次回の弁論期日は4月9日(木)です。この貴重な裁判への庁内外の関心を高め、過労自死の事実と原因、責任の所在をを明らかにすることが、パワハラを許さない県庁職場づくりに繋がります。多くの組合員、職員の傍聴をお願いします。

【県側の反論(要旨)】

 原告は知事室での被災者の業務負担等について、公務災害基金の調査結果での職場関係者の証言を元に主張している。しかし原告の主張に沿った証言のみが引用されており、当時の職場状況を客観的に示されているとは言えない。証言では、必ずしもパワハラと思っていない人もいる。職場の全員がパワハラとは思っていない。

 特命事項が被災者にとって大きな負担になっていたと主張するが、「本人だけが重いイベントを担当していたという訳ではない」など、被災者にとって大きな精神的負担となっていたと認めることはできない。業務に起因して精神疾患を発症していたことを客観的に示す資料(医師による診断書等)は無く、証言からも、当時被災者が何らかの精神疾患を発症していたと認めることは困難。

 原告は、財政課の上司が被災者に対し、「業務を減らす等の対策を何ら取らなかった」と主張するが、当時財政課では、被災者に対し業務軽減等の措置を講じていた。(「うつ病エピソード」が認められた)9月末以降に被災者の業務量を大幅に軽減するとともに、被災者に対し休日出勤せず、平日についても早い時間で帰宅するよう促した。医師による面接指導を受けさせるなど、被災者の心身の健康を危険から保護するための措置を講じた。長時間労働を改善するための対策が不十分であったことは認めるが、「業務を減らす等の対策を何ら取らなかった」とする原告の主張は失当である。

【県反論に対する原告代理人弁護士の見解】

 パワハラの立証は難しい。パワハラを立証するためにはさらに当時を知るための証言が必要。ご協力いただきたい。

 経過から見ると、知事室で心身の疲労がたまり、その後の財政課での6箇月すべて100時間を超える時間外労働をさせた。

 (安全配慮義務違反の訴えに対し)9月に明らかに疾患した後に仕事を減らした、何もやっていないわけではないとの反論は、法的には通用しない。しかも業務を減らしたといっても過労死ラインの範囲。十分な対策を取っていないと反論する。「怒られ役になっていた」「部屋中に響き渡るような声で怒鳴られていたのは事実」「弱い人間にとっては間違いなくパワハラと受け止められるようなものだった」との証言。7月ごろには被災者は他の人と話をしなくなり笑わなくなった。9月ごろには同僚に「生きていたくない」「死にたい」などいうようになり、健全化法にかかる業務でミスしたころには「切腹ものだ」と言い、独り言が多くなった。顔色は非常に悪く、目はうつろで、どもったり繰り返しが多くなり活舌が悪くなる、しゃべり方に異常がみられるなど、被災者の心身の健康には明らかな異常がみられていた。

【参加者からの発言】

  • 上司からパワハラを受けて退職を余儀なくされた方が大勢いる。しかし先日のパワハラアンケート結果ではパワハラ上司はパワハラしたと思っていないことが明らかになった。パワハラを受けた者に寄り添った判決を望んでいる。
  • 被災者は黒岩県政の犠牲者と言える。知事室でパフォーマンスばかりの仕事をさせられ、パワハラも受けて被災者への負担が大きかったことを知事室幹部も知っていたはず。それなのになぜ、疲労が蓄積した職員を県庁で最も忙しい財政課に異動させたのか。人事が問われる。
  • 神奈川自治労連は、県職労連からの支援要請を受けた。県庁だけではなく、自治体で働くすべての労働者のためにも、民間も含め多くの労働者に呼びかけ裁判支援していく。
  • パワハラ加害者は処分されるべきだが、事件を起こした背景として、幹部職員が知事にノーと言えない県庁の空気がある。発症の時点で本人を休ませるべきだった。パワハラと長時間労働を強いて職員を潰すまで働かせる県庁を変えなければ。
  • 重大事件を起こした当事者である幹部職員を不問にして昇格させるのはおかしい。
  • 昨日の県議会で、知事は「裁判の中で真実を明らかにする」と答弁した。加害者である当事者の県が事実を明らかにしないで、息子を殺された被害者に裁判を起こさせ「真実を明らかにする」とはどういう了見か。憤りを感じた。この貴重な裁判を活かし、パワハラを許さない県庁に変えるには、職場で労働組合が強く大きくなることが不可欠だ。

 本庁職場残業調査結果など他の情報は、県職労情報No.1372(学習資料のページ)をご覧ください。

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