2015賃金確定交渉再開

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労務担当局長は県人事委員会勧告実施を明言せず。実施条件として「財政状況の見極め」「給与関連諸制度改悪」を提案

 10月21日・23日の副知事への要求提出及び回答交渉以降、中断を余儀なくされていた2015県労連賃金確定闘争は、12月4日の国家公務員給与の人事院勧告内容での実施に関する閣議決定と、同日付の総務省の給与改定通知を受け、12月7日午前、幹事団交渉として再開されました。

県労連として県人事委員会勧告の完全実施を強くもとめる

 交渉に先立ち芹沢議長から、既に交渉が終結した都道府県もあるが、人事委員会勧告の完全実施が全国的な流れである。他の都道府県の状況も踏まえ、誠実に交渉に臨んでほしいと、県人事委員会勧告の完全実施を強くもとめました。

 続いて、谷藤事務局長から「2015年度賃金確定等要求書」の重点項目として①人事委員会勧告の完全実施②ライフワークバランスの拡充、労働時間の短縮、休暇制度の拡充③育児休業、介護休暇の取得推進④メンタルヘルス対策の充実⑤臨任・非常勤職員の待遇改善⑥再任用職員の待遇改善を挙げ、その実現を求めました。

労務担当局長、プラス勧告実施は職員のモチベーションアップと人材確保につながるとしながら実施のための給与諸制度見直しが条件と9項目を提案

 労務担当局長は、交渉延期に対するお詫びと謝辞に続いて、副知事交渉時に続いて財政状況の厳しさを強調。2015年度の県税収入は当初予算を確保したが、内閣府の月例報告によれば、アジア圏の景気減速により景気の先行きは不透明であり、下振れリスクがある。そうした中で慎重な財政運営が求められている。依命通知にあった財源不足額650億円の解消は見通しが立っていない。これには、人勧完全実施に要する72億円は含まれておらず、勧告実施すれば財源不足が脹らむとしました。

 これを受け、労働基本権の制約の代償措置として勧告実施は基本であるが、そのためには「今後の財政状況への見極めがつくこと」「県民と議会の理解を得られるよう給与諸制度を見直すとともに、財源確保すること」として、次の9項目の見直しを提案しました。

  • 交通用具利用者の通勤手当を国準拠とし通勤距離10km 以上は引上げ。大多数の職員の分布する10km未満を200円~2,200円引下げ。(5km未満が最大引下げ)
  • 希望降格の際の給与格付けについて同額ないし直近下位から、昇格メリットも含めた昇格時級号給の反対の級号給に下げる。
  • 再任用職員の人事評価を実施し給与や勤勉手当へ反映。任期更新の判断材料とする。
  • 時間外手当の算定基礎勤務日数で控除する休日分相当時間について現在の147時間15分(19日)から、実際の休日数に合わせ変動する。
  • 非常勤職員の時間外手当支給率を、再任用にあわせ7時間45分まで100/100とする。
  • 既に、労使間で確認した所属への携帯電話の配置、職員個人所有の携帯電話の活用等の旅費雑費の代替措置実施が困難となったので、ゼロから協議したい。
  • 定年前の早期退職特例制度(年5%)について、国と年齢構成等が異なることから、導入せず、現行の早期退職勧奨制度(年2%)で運用する。
  • 忌引休暇を国準拠とし、配偶者の叔父叔母死亡の1日を廃止、また配偶者死亡の10日を7日と短縮。
  • 賃金確定交渉終了後、調整額・特殊勤務手当交渉を再開し、1月14日までにまとめる。

勤務時間短縮やメンタルヘルス対策、臨時任用職員・非常勤職員の処遇改善など県労連要求には「既に実施してきている」ことを理由にゼロ回答

 こうしたマイナス提案の一方、県労連要求については、これまで実施してきており、これ以上の前進した回答は困難との姿勢に終始しました。

労務担当局長の姿勢に対し県労連幹事団として強く抗議。次回交渉以降、勧告完全実施の回答とマイナス提案の撤回を求める。

 労務担当局長の回答・提案に対し県労連幹事団は認められないと次のとおり撤回を強くもとめました。

  • 労働基本権の代償措置である人事委員会勧告を無視することは認められない。
  • 勧告実施を財政事情とマイナス提案受託を条件とする提案では交渉とならない。
  • 本県と国における交通用具受給者の手当の違いは、人材確保や勤務地配置のための勤務労働条件確保という視点から積み上げられてきたもの。そうした積上げを全く無視した提案理由は認められない。
  • 再任用職員には生活関連手当がなく、教員では給与格付けも低い。その上で、人事評価の勤勉手当への反映ではモチベーションが下がる一方。
  • 財政状況の見極めというが、財政状況がどのように厳しいのか納得できるように説明すべき。提案に対する説明責任を果たしていない。
  • 労働時間短縮やメンタルヘルス対策を実施してきているというが、それでも問題があるとしての要求。実施してきている事業を検証し実効あるものとするべき。

 最後に芹沢議長から、労務担当局長に提案理由を再度整理して示すことをもとめ交渉を終えました。

その他、詳しい情報は、県職労情報No.1295(学習資料のページ)をご覧ください。

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