厚木児相と不適正経理問題で当局に要請(1)

 提案・声明・見解

声明

7月10日、県職労は厚木児相に関わる事案及びいくつかの機関で指摘されてきた不適正経理問題について、私たち自治体労働者の労働条件に深く関わっていることから、中央執行委員会として「見解・声明」を発表し、当局に要請を行いました。当局は「受け止める」との対応に留まりましたが、県職労としてこれらの要望を今年度基本要求交渉でさらに追求していきます。

県民のいのちと暮らしを守ることは私たちのミッション。そのミッション遂行を不可能とした黒岩知事の人員削減方針に断固抗議する

 2014年5月、厚木児童相談所管内で児童が白骨化した死体が発見されるという痛ましい遺棄致死事件が発生しました。黒岩知事は「行政として何もできなかったことは、言い訳の出来ない最悪の対応だったと言わざるをえない。徹底的に原因を洗い出し、2度と同じことが起きないよう早急に対応したい」とのコメントを発表しました。

 どのような言い逃れをしても、私たち県職員が救えるはずだった命を救えなかったことは許されることではなく、県民のいのちと暮らしを守ることを県職員の使命と考え、そのための職場環境の整備を求めてきた県職労として、こうした事態を生んでしまったことの責任を感ずるところです。

 この間、地域社会や家庭の崩壊、雇用破壊などの経済状況の悪化、そして命をないがしろにするマスメディアの横行や人間同士のふれあいを破壊するIT産業の発達によって、こどもたちをめぐる環境は悪化を続けています。

 そうした中、マスコミに取り上げられるまでもなく、児童相談所の扱う相談や保護事案は件数はもとよりその内容においても深刻化しています。しかし、黒岩知事は、その実態を見ることなく、「緊急財政対策」による人件費削減を推し進め、交付税基準等の財政上設定された「国基準」を理由に、必要とされる人員体制を確保してきませんでした。

 この結果、今回件の対象となった厚木に限らず、多くの児童相談所では、昼休みも十分に取れず、深夜にも及ぶ業務過多の状態が慢性化し、課題対応についても優先順位を付けざるを得ない実態があります。

 さらに県職員が児童保護目的で「強制執行」をした場合、逆に親から「訴えられる」リスクもありますが、そうしたリスクは自己責任の「損害賠償保険加入」で回避するなど、組織的な対応がない状態にあります。

 黒岩知事は「徹底的に原因を洗い出し、2度と同じことが起きないよう早急に対応したい」とコメントしましたが、そうであるならば自ら児童相談所における業務の実態を真正面から捕らえ、情報共有化という単なる業務システム上の問題という誰もが表面的にわかる「結果としての問題」として解決するのではなく、その根底にある人員不足や職場環境等の問題として解決策を講ずるべきです。

 私たち県職員は、県民の命と暮らしを守ることを使命としています。今回の黒岩知事の発言は、人員削減を行い使命を果たすことを不可能にしながら、その責任を自ら問うことなく、県職員の責任のみに帰する極めて不誠実なものといわざるを得ません。

 私たち県職労はこのような痛ましい事件が二度と起ってはならないと考えます。県職員が県民に対しその使命を果たし、県民のいのちと暮らしを守る砦となる県政の実現に向け、業務実態に見合う職員の配置と処遇改善を強く要求するものです。

2014年7月8日
神奈川県職員労働組合第20回中央執行委員会

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