「さよなら原発10万人集会」参加報告

 レポート

 関西電力大飯原発の再稼働からほぼ2週間。7月16日正午過ぎ。東京・代々木公園は炎天下、気温32度を超える熱気で充満していました。老若男女約17万人が会場を埋め尽くした「さよなら原発10万人集会」は、ノーベル賞作家の大江健三郎氏をはじめ9名による「さようなら原発1000万人市民の会」の呼びかけに応え実現したものです。反原発集会としては過去最大の規模です。

 「一市民として来ました。」と語りはじめたミュージシャンの坂本龍一さんは、福島のあとに沈黙するのは野蛮だと声をあげました。大江健三郎さんは、780万人の署名を提出した翌日、野田首相が大飯原発の再稼働を決定したことを侮辱と受け止め、政府のもくろみを打ち倒そうと語りかけました。呼びかけ人の9名だけでなく多種多彩な著名人がステージ上で、もちろん無名の私たちとともに、未来を憂える一個人として原発再稼働への抗議を繰り返します。

 日本国内にある原発は54基。政府は原発の寿命を原則40年としていることから、いずれはなくなる計算です(例外規定があるので確実ではありません)。しかし放射性廃棄物の処理など廃炉にも多額の費用がかかり、発電をしなくても維持管理にコストがかかります。石炭火力、自然エネルギーなどの原発に替わる発電は、経済、暮らしを支える電力として安定して供給されるのか色々な説があります。冷静に考えれば、どの道を選択したとしても日本のエネルギー政策は多難の道を歩むことが確実とされます。

 こうした集会、デモに対して現実を見ていない情緒的なものだとする見方がありますが、これまでの原子力推進政策が信用できなくなったことや安全神話の崩壊を前に、拙速な原発の再稼働は大きな疑念を抱かせます。このままなし崩しに物事が動いていくのではないか。時間の経過とともにどんな危機も忘却してしまうのではないか。誰も信用できない、といういらだちが大きなメッセージとして表現されているのではないでしょうか。

さよなら原発デモ

 さて、私たち県職労連の仲間たちは、メインステージのあるイベント広場の脇、公園内を貫く道路上が集合場所です。日差しを遮るものがない場所で(もちろん交代で木陰に移りますが)、呼びかけ人のあいさつをはじめ、ステージ上で繰り広げられる脱原発のアピール、コンサートを聞くこととなりました。姿は見えませんが、拡声器から伝わる異議申し立ての声ははるか遠くまでこだましているようでした。

 集会のあとデモへ人は流れていきます。とはいえあまりの人の多さに動き出すことができません。私たちが代々木公園を動き出したのは午後の4時半。そこから新宿中央公園へは2.7キロ。短い距離でも長い1日でした。デモの最中で驚いたのは、おそらく原発事故がなければ、「デモ」という行為に参加する縁もなかったかもしれないであろう小学生たち。彼らが、誰よりも大きな声で「原発反対」と叫んでいたことが心に残ります。

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