第4回「これからの障がい者入所施設のあり方と県立施設の役割を考える集い」アピール

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〇2022年3月29日に「当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会報告書」が提出されました。
この報告書の中で、障がい者入所施設については「役割の縮小、転換を図り、緊急時対応と通過型のサービス提供に重点化」し、地域生活移行を進め、また県立施設は「民間移譲を目指す方向」が提言されました。

〇今日の集会では、パネリストの皆様のそれぞれの立場から、ご意見を頂き、それを踏まえた意見交換がなされました。

〇そこで、私たちは「神奈川県」「市町村」「福祉関係者」「報道関係者」に次のことをお願いいたします。

1.「当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会」からの提言を神奈川県が施策化するに当たっては、次のことをふまえてください。

(1)「入所施設の役割の縮小、転換を図り、緊急時対応と通過型のサービス提供に重点化」することが、本当に県内のニーズや地域サービスの現実を反映したものなのかどうか、関係諸団体や市町村の意見を再度聴取し、慎重に検討してください。

(2)「地域で障がい者が安心して生き生きと生活できるための条件」と「家族だけに過重な負担が課せられない」ことを実現させるには、市町村だけに任せず、神奈川県が公的責任をきちんと果たし、十分な予算を確保してください。また、障がい福祉サービス報酬制度の改善を「国」に強く要請してください。

(3)地域生活の場としてのグループホーム等において、「強度行動障がいの人」や「言葉のない重い障害の人」でも受け入れてもらえるのでしょうか。日中、夜間体制も含めた支援員や医療スタッフ等の必要な人員配置と質的確保と併せ、バリアフリー化や防犯、防災、防火、近隣対策も含めたハード面の整備などが必要です。
県と市町村は、現在及び将来の暮らしに不安が無いように、当事者と家族の願いにきちんと応えてください。

(4)入所施設で生活したいと希望する人の意思は尊重しないのでしょうか。「入所施設よりも地域で」という方向性は、地域の諸条件が本当に豊かに整った結果としての自己選択の一つであり、逆に強いる形になってはなりません。地域福祉を支えるセーフィティネットの拠点としての入所施設は、引き続き必要です。

(5)県立施設の民間移譲方針は見直してください。障害福祉圏域ごとに県立でなければ担えないニーズへの要望や期待があり、民間施設と連携した新たな役割や機能が求められています。

(6)「強度行動障がいのある人に対する支援」について、施錠に頼らない支援の実現には、必要な職員配置・職員育成・日中活動体制の見直し等と表裏一体のものとして取り組む必要があります。
そのためにはこれまでの実践報告などでの知見を活用し、民間も含めた全ての施設関係者による「オール神奈川」での英知を集める仕組みづくりが望まれます。

(7)今回の委員会では議論の対象になっていませんが、「障がいがある児童の入所施設」のあり方や「加齢児問題」にも光を当て、ぜひ改善してください。

2.「県立中井やまゆり園における利用者支援外部調査委員会」の調査について、次のことをふまえてください。

(1)公表された第一次調査結果内容は、事実確認も客観的な証拠も不十分であり、証言内容も信憑性がないものが多く、さらなる真実の解明を求めます。但し、一連の調査継続で職員は疲弊し、メンタル不全も引き起こされ、改善への意欲低下が懸念される深刻な状況です。予断のない慎重な対応を望みます。
また、調査途中での情報漏洩はあってはなりません。

(2)通報を受けた市町村は、客観的で公正な判断をお願いします。虐待通報は制裁ではなく再発防止のためのものです。また、真相が明らかになるまでは、県は職員処分をほのめかすような発表は慎んでください。

(3)一連の報道により、障害当事者・家族・福祉関係者・福祉施設就職希望者等に不安感や不信感等が生じており、今後の福祉人材の確保・育成にも影響します。情報の真偽を確認した公正な報道を望みます。

2022年5月21日  これからの県立施設を考える会・集い参加者有志

第4回「これからの障がい者入所施設のあり方と県立施設の役割を考える集い」アピール(PDF版)

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