県政散歩(1701)


ブラック企業は暴力団などとの結びつきが強いフロント企業を指す隠語。近年は劣悪な環境での労働を強いる企業総体を指すようになっている。若者の不安につけ込み、足元をみることはすでに社会問題だ。企業の体質や内情は悪質な法令違反が露呈し経営者の逮捕などが起きない限り、社名が公に報道されることがない。

ブラック企業とはもっとも遠い存在であったはずのクラシック音楽、神奈川フィルハーモニーで耳を疑うような事態が起きた。賃金3割カット、一時金なしの現状に不満をもって労働組合を結成した楽員に突然、解雇通知を送りつけ、翌日から練習場への入場拒否を強行したのだ。あいた口がふさがらない。交渉窓口3人の内2人の首を切り(1人は上部団体役員)これが不当労働行為でなくてなんだろう。

県はどうする。県内唯一のプロオーケストラとして新公益法人への移行を目指し、知事が先頭にたって応援団長を担ってきた「優良企業」であったのだから。

神奈フィルがブラック企業になることなど、県民は誰も望んでいない。野蛮な楽員支配の一掃は焦眉の課題だ。現場主義を常々口にする我が知事。現場は事務所ではなく楽器を奏でる人とともにオーケストラのなかにある。現場へいけ。楽員一人ひとりへの応援こそ知事に期待するものだろう。

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