2015年度当初予算案に対する県職労連声明

 提案・声明・見解

声明

◆「550億円財源不足」(予算編成依命通知)、骨格予算といいながら、一般会計予算は過去最大

◆アベノミクス第三の矢「ものまね」の「かながわ成長戦略」実現予算

 黒岩知事は13日(金)、2月17日から開会される第1回県議会定例会に提案する2015年度の当初予算案について記者発表を行いました。

 その内容は「かながわ成長戦略実現予算」と銘打ち、現政権のすすめるアベノミクス成長戦略を積極的にすすめ、「神奈川から経済のエンジンを回す」(記者発表資料)という性格を色濃く出すものとなっています。

 歴代の神奈川県政では、知事選挙の年は、続投を宣言し支持政党関係等から当選が確実視されていても、当選後の知事の政策判断に委ねる「肉付け部分」を残すのが慣行であり、「知事は選挙で選ばれる」民主主義の原則からすれば当然のことです。

 しかし、今回は「政策的な継続性を重視する事業等」として、黒岩知事の進める「ヘルスケア・ニューフロンティア」をはじめとする特区成長戦略を入れ込み、「肉付け部分」が全くありません。

 安倍政権応援団の盟主の知事として、「成長戦略を推進する立場にいることを明確にしたい」という主張はあるとしても、アベノミクスに対する評価が確定していない(先の衆議院選挙で自民党を支持したのは有権者の2割程度)なかで、このような予算編成を行うことは、県民を無視したものと言わざるを得ません。

550億円の財源不足はどこへ。未年の今年度に「オオカミが来たぞ」では済まされない

 2015年度予算案作成にあたって昨秋出された依命通知は、「例年通り」に財源不足が強調されました。予算編成では、ロードマップに基づく削減とあわせ、これ以上切り込むと事業遂行困難となる事業費や経常経費の一律削減、老朽化し使用に耐えない施設等の維持修繕費の伸びの抑制など、厳しい査定が行われ、賃金確定闘争でも、県人事委員会勧告の実施を労務統括官は最後まで「目途がたたない」ことを理由に回答しなかったことは記憶に新しいところです。

 それが、どうなったか。記者発表資料では2014年度予算で生まれた財源で補填し賄ったと説明されていますが、2014年度決算見込みは予算編成方針策定時でも一定判明していたはずで、記者発表の段階で判明したものではありません。

 財政責任者のリスク回避の立場を否定するものではありません。しかし、緊急財政対策における2013年度2014年度の財源不足額1600億円が、結果として、県債管理基金や財政基金積立で見る限り1200億円の黒字になり、2800億円の財源が生じていることは事実です。リスク回避としての「オオカミが来たぞ」の手法は、もはや限界にきていると見るべきです。

条例定数削減の中で、職場の業務実態を踏まえた改善が行われる

 条例定数は「厳しい財政状況と県民の目」を踏まえ2015年度も20名の削減となりました。事業規模でもある予算が過去最大といいながら、それを担う事業担当職員数は過去最少となりました。

 一方で、成長戦略である「ヘルスケア・ニューフロンティア局」の政策策定スタッフは最も大きな増員(12名)が行われました。

 改めて、黒岩知事は“私たち職員・労働者の健康管理=未病対策”の前に、アベノミクス推進を優先し、職員労働者を犠牲に施策を進めようとしていることが明らかになったといえます。

 そうした中で、県職労基本要求闘争で1300筆を超える署名で要求の押し上げ図った、児童相談所や本庁保険予防課の長時間過密労働職場の解消に向けた人員増については、「児童虐待支援体制強化」「難病法改正対応」として「遅きに失する」面があるものの要求の前進を図ることができました。

 中里学園など変則勤務職場における職員配置問題など、多くの課題が残されていますが、今回の人員増が、人員不足の問題点が、利用者・県民に対しても明らかになった中で行われたことを踏まえ、いまの黒岩県政の進める本当の姿を、県民の前に明らかにしていくことが重要です。

 業務実態に見合った予算人員となっているか、職場からの検証運動をすすめます。

県民のための予算と人員確保へ さらに前へ

 今回の予算案や条例定数案(人員配置案)で、県民のいのちと健康、雇用と営業を守る仕事が2015年度にできるのか。それを確認できるのは、仕事をしている職員であり、そこで明らかになった課題を解決していくのは、分会・支部をはじめとする労働組合の力です。

 全ての職場で、予算・人員体制と課題について明らかにし、政策・要求化していく運動をすすめていきましょう。

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