厚木児相と不適正経理問題で当局に要請(2)

 提案・声明・見解

声明

7月10日、県職労は厚木児相に関わる事案及びいくつかの機関で指摘されてきた不適正経理問題について、私たち自治体労働者の労働条件に深く関わっていることから、中央執行委員会として「見解・声明」を発表し、当局に要請を行いました。当局は「受け止める」との対応に留まりましたが、県職労としてこれらの要望を今年度基本要求交渉でさらに追求していきます。

不適正経理の再発防止対策は、その背景にある職場実態の改善から
所属・担当者の責任追及に留めず、当局責任による原因分析と人的組織的対策の実施を

 今年度に入り、出先機関での不適正経理について、記者発表が複数件行われました。

 我々県職員とって県民の信頼を失墜させる行為であり認められるものではありません。県当局が記者発表で触れたように「事務処理の相互チェック体制の強化を図るなど、再発防止にけた適正な事務処理の徹底を図る」ことは重要であり、県職労として、再発防止に向けた業務執行体制の充実強化を強く求めるものです。

 今回の不適正経理は、過去の私的利益を求めた不正経理と異なり、その多くは経理事務の処理過程における誤りや遅れ等から発生しています。

 今、多くの出先機関の業務は、件数増はもとより内容も多様化・複雑化し、さらに、その業務に充てられる財源も細分化・多様化しています。経理事務を行うにあたっては、そうした業務の内容と財源を熟知し、規則等で定められた手順と日程という基礎的知識とあわせ処理する能力が求められています。相互チェック体制も、処理能力を持った第三者が日常的に確認することで、初めて適正な経理が行われることになります。

 しかし職場の現状はどうでしょうか。この間の不適正経理対策と経理事務への職員配置、閉ざされた職場環境の中で、不適正経理がおきかねない状況にあります。

 不適正経理対策の結果、出先機関の物品購入等の業務は、事業担当者から全て経理担当者に集中化されることになりました。しかし、その経理担当者が全ての業務の詳細知識はもっておらず、事業担当者と経理担当者の情報交換も十分にできていない中で、誤った物品購入等が行われる(物品が購入されない)危険性があります。

 また、経理担当者も経験者不足に加え、少人数配置であるため、業務を把握した上で処理する暇はなく、日程に終われて機械的に処理しかねない状況にあります。

 さらに、経理担当者間あるいは経理担当者と管理監督者の関係においても、経理事務の処理能力をもった者が複数配置されているわけではなく、「風通しのよい職場」を目指すといっても、経理担当者個人の事務が集中し「会話が成り立たない」状況にあります。そうした中、出先機関の多くの経理担当者は、時間外に職場に取り残され事務処理を行わざるを得ない実態があります。

 再発防止対策としての業務執行体制の充実強化は、まず、こうした不適正経理の背景にある職場の業務実態、経理担当者の置かれている勤務労働条件を把握し、その改善を図ることの中で行われるべきと考えます。不適正経理を生んだ所属や担当者の責任を追及するだけでは、不適正経理はなくならないと考えます。

 私たち県職労はこのような県民の不信感を募る事件が二度と起ってはならないと考えます。県職員が県民に対しその使命を果たし、県民のいのちと暮らしを守る砦となる県政の実現に向け、事件の背景調査を県当局が率先して行い、その結果を受けて業務実態に見合う職員の配置と処遇改善を実施することを強く要求するものです。

2014年7月8日
神奈川県職員労働組合第20回中央執行委員会

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