2015年「県人事委員会勧告」に対する県職労連声明

 提案・声明・見解

声明

私たちの要求に沿った給料、手当等の改善

 10月14日、神奈川県人事委員会は神奈川県知事及び県議会議長に対して、2015年の「職員の給与等に関する報告及び給与改定に関する勧告」を行いました。

 その内容は、2015年の給与改定について、月例給について国人事院勧告(1,469円(0.36%))を上回る2,736円(0.68%)の引上げ、一時金についても0.1月引き上げるというものです。

 また、給与改定原資の配分として、給料表において若年者中心に2,700円(行(1))、その他の層にも1,300円を基本に改善、地域手当については0.6%引き上げ10.6%とするとともに、住居手当(借家借間)の上限を500円引き上げ28,500円(月上限)としました。

 これらは、いずれも2015年4月に遡及して実施され、地域手当は、さらに2016年4月から0.9%引き上げられ11.5%にするとしています。

 今年の勧告は昨年2014年に続くプラス勧告であり、2年連続のプラス勧告は1991年以来、24年ぶりです。

 昨年に続くプラス勧告は、この4月に廃止された住居手当(持ち家)の公民較差影響(県職労連試算で1,200円程度)があるとはいえ、賃金改善を求める公民一体となった2015国民春闘の闘いと、県人事委員会勧告に向けた県労連5単組(県職労をはじめ神教組、神高教、公企労、自治労県職)の2度に渡る要請と職場からの署名の積み上げの成果です。

 県職労、県労連は県人事委員会勧告に向け、公民較差の配分について「若年者の生活改善につながる給与改定を」「現給保障となっている中高年者にも賃上げを」と要請してきましたが、若年者については2,700円の給与引上げに加え、賃貸アパートに対する手当も500円増額、その他の世代についても給料表において最低1,300円を引き上げ、地域手当も引上げられることとなりました。今回の勧告は、公民較差の配分においても、わたしたちの要求を踏まえたものとなったといえます。

総労働時間短縮について具体策の提案なし

 一方、公務運営上の課題としてあげた「総労働時間短縮」については、任命権者に実効性が上がっていないとし、「「行革改革大綱」が掲げるスピード重視や生産性向上などの方向性による取組みを本格化させ、」「時間外勤務の縮減と計画的な年次休暇の所得促進を更に推し進めていくことを求め」ると任命権者に強く要請するものとなっていますが、職場実態の検証をもとにした具体策を県人事委員会として提案することはありませんでした。

 また、現在の職場実態から不払い残業の拡大と県民サービスの低下につながることが明らかな「フレックスタイム」については、県人事委員会として課題を検討するとして、ただちに実施を求めるものとはなっていません。

 県人事委員会として、ワーク・ライフ・バランスの推進と子育て・介護職員の支援策について、「フレックスタイム」や「テレワーク」といった民間企業で実施されている勤務時間や勤務場所の弾力化を図るにあたっては、公務労働の性格を踏まえ、「総労働時間の短縮」と「法令順守した勤務時間管理」と一体で検討するよう求めるものです。

非正規職員の処遇について全く触れず

 最後に、今回の勧告では非常勤職員・臨時任用職員の賃金・労働条件の改善には、国勧告と同様に触れていません。若年者の給与改善は非常勤・臨時任用職員の賃金改善につながりますが、「同一労働と同一賃金」の原則から見ると現行の水準は休暇制度も含め、きわめて劣悪な状況に置かれており、県職員に対する勧告という趣旨から全く触れなかったことは問題です。

 人事委員会勧告の翌日の10月15日に県は2016年度に向けた予算編成方針を発表します。臨時財政対策債など義務的経費の増大による県財政の厳しさは構造的なものがあり、予算編成方針でも財源不足が強調され、歳出抑制として人件費が話題と出てくることも予想されます。

勧告完全実施を求めて職場から運動を進めよう

 県職労は県労連の仲間とともに、2015賃金確定闘争において、2016年4月からの地域手当の引き上げも含め、今回の人事委員会勧告の賃金改定の完全実施をもとめるとともに、「総労働時間短縮」「非常勤・臨時任用職員の賃金労働条件の改善」など、残された課題の解決にむけ、職場を基礎に運動を進めていきます。

勧告に基づく給与改定表など、詳しい情報は、県職労連情報No.85(学習資料のページ)をご覧ください。

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