尾花輝代充さん(元神奈フィルコンサートマスター)から

「神奈川フィル不当解雇、撤回させよう!」トップ

今回の事態は非常に悲しい

 神奈川フィルに在籍していたものとして、今回の事態が非常に悲しい。演奏家としての視点で今回の解雇について話をさせていただきます。

 解雇理由に技量をあげていますが、技量が問われるのであれば、判断する機構が必要です。コンサートマスターや主席奏者等技能者集団の会議が開かれて然るべきです。

 そもそも技能レベルには基準があるのか。またその基準は誰が決めるのか。判断は個々人によって違い、揺るぎないものはありません。通常、立証が難しいことです。

 また、弦楽器などは集合体で演奏しているのですから、個人の演奏を特定できるものではありません。これは不可能です。更にうっかりミスやその日の不調、得手不得手などと技能低下との違いも判断できません。ピッチカートに問題があるとしていますが、音程、リズム、音楽性の3つが通常の技術の評価対象であり、ピッチカートでは判断できません。

 指揮者からのクレームといいますが、クレームではなく指揮者の好みだと思います。私が神奈川フィルに在籍していた時に、2人に対する技量の話を指揮者から聞いたことはありません。唐突に生じた技能低下に疑問を覚えます。

 プレーヤーは演奏が一流でも、こういう問題に対する知識や判断が乏しいです。1日に3〜5時間の練習が必要ですから体力も消耗し、演奏以外に興味をもったりしていられません。このような問題に対するプレーヤーの知識や対応の仕方について、みなさんの力が必要です。是非助けてあげてください。

 クレームをつけた指揮者ですが常任や監督に値する人なのか、名前を明らかにしてもらいたい。私は30年コンサートマスターの役にいましたが、そのようなことを言った指揮者は聞いたことがない。演奏の出来不出来については、オーケストラは集合体であるから集合判断はありますが、個人のせいにするのはおかしい。どういう心境でそのようなことを言ったのか聞きたいです。そもそも指揮者はまとめ役。まとめ役である指揮者が角の立つようなことはやらないのです。

 解雇について、演奏態度が問題であったとすれば、普通いつの演奏会のどういう態度がこうこう悪かったから、このように直せと具体的に記載して掲示するのが当然です。何度かこういう掲示があって、それでもなお改善がなければ次の段階となります。

 オーディションが全楽員で審査投票するという厳正なものなのに、解雇は経営者の基準で勝手にできるというのは、オーケストラの基本を理解していない。本当にひどいやり方です。

 みなさんの力で2人の解雇を撤回させてください。